事業再構築ビジネスプラン
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創業から141年、地域とともに 時代とともに お客さまとともに

増毛町
国稀酒造株式会社

増毛町,増毛町商工会
国稀酒造株式会社

■企業情報

国稀酒造は、初代本間泰蔵氏が明治8年に増毛で始めた呉服商をルーツとして、醸造業を始めた1882年(明治15年)創業、日本最北の酒蔵である。
現在、代表取締役社長を務めるのは、創業家である本間家の血筋を引く林 花織 氏。会長を務める林 愼二 氏とともに二人三脚で国稀酒造を支えてきた。 

国稀酒造では酒蔵見学を受け入れており、石造りの蔵が持つ昔ながらの風情を感じられ、周辺の歴史的建物群とともに増毛町の観光名所となっている。

また、利き酒コーナーでは国稀酒造が醸造したお酒の試飲が可能で、気に入った商品は併設される直売所で購入可能。直売所では蔵元限定酒や酒粕を販売しており、他に京都・奈良から仕入れた和風小物やオリジナル商品は、特に女性客を中心に好評を得ている。

売店側玄関
建物外観(米蔵ギャラリー)

■日本酒の市場動向と新商品開発

国内の日本酒の出荷量は1970年代をピークに減少傾向が続いているなか、国稀酒造では、1985年に販売を開始した辛口の日本酒である「北海鬼ころし」などのヒット商品で業績は上向きであった。

それでも、国内の日本酒出荷量は2000年代に入って減少速度が加速、ピーク時の3分の1以下まで落ち込む中、国稀酒造では、日本酒を飲んでこなかった客層を新たなターゲットとして獲得を目指す。

まずは、増毛町の生産者が自家用で栽培している梅を用いた「梅酒」を開発して、多様な事業展開を行ってきた。これは、普段あまりお酒を飲まない層をターゲットにした甘くて飲みやすい商品となっており、これまで国稀酒造では見かけることの無かった若い女性客が訪れるようになった。
「梅酒」が好評であったことから、国稀酒造では更なる新商品開発による販路開拓を進めていく。

■新型コロナウイルス感染症の影響と新たな取り組み

続いて手掛けたのは、「スパークリング清酒」。「梅酒」と同様にこれまでとは異なる客層をターゲットとしており、海外においても発泡性の日本酒が注目を集めつつあることから、国内外を問わず新しい客層を獲得することによる売上の増加を目指した。

だがここで、コロナ禍が国稀酒造に大きな影響を与える。2020年から感染が拡大した新型コロナウイルス感染症に伴う緊急事態宣言等により、外出を自粛する動きが広がり飲食店の客足が途絶えたことから、比率の多くを占める飲食店向けの売上が激減したのだ。

そこで、新型コロナウイルスの影響を受けた事業者の新たな取り組みを支援する「事業再構築補助金」を活用して「スパークリング清酒」開発に必要な耐圧性のタンクを導入し、新商品の開発 に着手した。

加えて、国稀酒造では、そのほかに海外輸出事業の強化に向けて社内に国際部を設立したほか、「JAPANブランド育成支援事業」を活用し、ブランド性を高めた高価格帯の日本酒を開発、海外の富裕層向けに販路開拓を実施している。

「梅酒」
スパークリング清酒
海外向け日本酒

■全道の女性部員や中小・小規模事業者の皆さんへ

シンガポールでは「ライブコマース」という形態の商品販売方法が盛んであり、インフルエンサーが実際に増毛を訪れ、特産品の紹介をライブ配信するというものである。
視聴者は300人程度で、実際にラーメン250食分の注文が入るなど、特別な商品ではなくても海外への輸出が行われている。
林 花織社長は、『海外輸出が難しいと思っている方もいると思うが、ちょっとしたチャレンジ精神があればいくらでも輸出はできます。皆さんのモノづくりをもっともっと世界に広げていくことができます。やってみたいという人がいたらぜひ。』と呼びかけている。  

■国稀酒造株式会社の今後の展望

今回、国稀酒造株式会社は、長年培われてきた酒造りの技術を活かし、海外を中心とした新たな客層をターゲットとした新商品を開発することで販路の多角化を図った。 

これから新しい時代を迎えるにあたり、危機的状況に陥っても支えてくれた「地域」への感謝を忘れずに、「時代」が求める商品 を作っていく、そして、「お客さま」の暮らしに色を添える商品を提供することを新たに「経営理念」として掲げ、世界中の多くの国に「国稀」のお酒を届けたいとしている。