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第三者承継支援事例 vol.1

<募集終了>


<募集終了>

〈えりも町商工会:あわじ菓子舗〉

風のまち「えりも」で年間売上2,300万円、営業利益520万円の菓子舗が後継者募集中!!

店舗兼工場には居住スペースがあり即入居可!製造機械も全部揃っていて2年間のサポート付き、こんな好条件で譲渡希望価格500万円!!

■第三者承継支援の推進

北海道における後継者不在率は全国的な流れに反し、高止まりで推移しており、地域に必要な事業を残し次世代につなぐ事業承継への取組みは、喫緊の課題となっている。

当会では、第三者承継を含めた事業承継支援を重点事業とし、関係機関と連携しながら進めてきたが、今年度、更なる支援の充実に向けて事業承継マッチングプラットフォームrelay(リレイ)を運営する㈱ライトライトと情報共有し、マッチング情報をホームページで情報発信することとした。

今回、支援事例の第一段としてえりも町で後継者を募集している「あわじ菓子舗」のマッチング情報と商工会が実施した事業承継支援スキームを紹介する。

■地域の現状

 えりも町は北海道の東南端に位置し、最南端部にある「襟裳岬」は日本屈指の強風地帯として有名で風速10m以上の強風・暴風日数は年間で約300日にのぼる。

 基幹産業は競走馬などの軽種馬生産を主体とした農業と水産業となっており、町内でとれる「日高コンブ」は全国的にも有名でコンブ干しをする姿は夏から秋にかけてまちの風物詩となっている。

■企業概要

 あわじ菓子舗は、現代表である加藤勇一さんの義母が食品の卸売業として約60年前に開業、平成16年に加藤さんが2代目に就任してからは、評判の良かったパンや菓子を製造・販売する菓子店としてリニューアルした。

手作りにこだわっており、なかでもロールカステラやドーナッツ、中華まんじゅうが人気で、お盆や正月などは帰省客で賑わい一日あたり100人以上が来店していた。

 従業員は専従者である奥さんとパート従業員2名の計3名、奥さんは主に接客を担当、パート従業員は調理の補助を行うことで何とか切り盛りしてきたが、定休日である日曜日も葬儀や法事用の和菓子の注文が入り、休めない日が続く忙しい毎日を過ごしていくなか体力が限界となり、昨年6月頃から廃業を検討、12月末で店を閉めることになった。

■財務情報

えりも町の人口は約4,200人と道内でも決して多い地域ではないが、あわじ菓子舗はコロナ禍においても2,000万円以上の売上高を維持しており、営業利益は専従者給与を支払っても十分確保することができていた。

財務内容についても借入金は一切なく、安定した経営を続けており、加藤さん曰く、忙しすぎて年金を使う暇がなかったため、すべて経営者向け退職金制度の積立にまわっていたそうだ。

■事業承継に向けて

店主あわじ菓子舗 代表 加藤勇一さん

あわじ菓子舗には自然と人が集まり、主婦やお年寄りなどのコミュニケーションの場としても親しまれてきた。

店をやっていた頃は、どんなに忙しくてもお客さんとの会話から色々な情報を得ることができたが、今はそれができないことが一番残念、お客さんもきっと同じ想いでいるはずなので、できればこの部分も承継してもらいたい。

菓子づくりのレシピはメモで残してあるが、経験として頭の中にある部分も大きいので、初心者で、あわじ菓子舗の商品を引き継ぐ気持ちがある人がいれば、一人前になるまで数年かけて教えることも可能。

 ただし、建物を維持し続けるだけでも経費がかかるため、いつまでも後継者候補を待つわけにもいかず、区切りとして11月までに後継者が決まらなければ諦めて建物を取り壊す予定。

※令和5年11月末時点で後継者候補が見つからなかったため、後継者募集は終了しました。

えりも町商工会 前経営指導員 辻一範さん

中澤経営指導員(左)辻 前経営指導員(右)

あわじ菓子舗の加藤さんは、とにかくいい人、急な依頼や少量の注文でも快く引き受けてくれる。

さらに、作る商品全てが武器で、もち・ロールケーキ・ドーナツ・食パンなんでも美味しい。開店直後は出来立ての商品を求めて町外からの来店客も多い。

商工会で記帳指導を行っていたことから財務状況も把握、優良企業で十分な利益を確保しており、コロナの影響も一切なく、売上も減少せず、かえって贈答品の需要が増え粗利率は上がっていた。だからこそ廃業させたくなかった。

しかし、代表の加藤さんには後継者がいないため、あわじ菓子舗の廃業を以前から心配しており、昨年12月に加藤さんから廃業の相談があり、ついにその時が来てしまったが、地域に愛され、経営状況も順調なこういう内容の店だからこそ、このまちに残したいと思い、第三者承継を提案した。

閉店した今でもあわじ菓子舗の商品をみんなが食べたがっており、この味を承継することができたらお客さんは間違いなく戻って来る。仕入れ先の承継も可能でレシピもあり、お客さんもついているこのような店は中々ない。是非、あわじ菓子舗を承継してほしい。

最後に、承継する方へのアドバイスとしてあわじ菓子舗の店名と電話番号はみんなが覚えているため変えない方がいい。ただし、あまり時間が経つと電話番号を忘れてしまうので年内がリミットだと思う。

※令和5年11月末時点で後継者候補が見つからなかったため、後継者募集は終了しました。

■譲渡内容・協力体制

建物は店舗兼住宅となっており、2階に居住可能。加藤さんは別宅で居住しているためすぐに入居することができる。

さらに、調理に必要な機械装置もそのままになっているため初期投資の必要なし、最低限の開業資金で創業可能。

また当時、働いていたパート従業員2名も再雇用を希望しているため人手不足の心配はない。

※令和5年11月末時点で後継者候補が見つからなかったため、後継者募集は終了しました。

■支援機関との連携状況スキーム図

■支援機関への登録の流れ

≪民間機関(relay)のHPでマッチング募集が掲載されるまでの流れ≫

以前、北海道商工会連合会の専門家派遣制度を活用して事業承継支援を受けた専門家に相談したところ、その専門家が北海道事業承継・引継ぎ支援センターのエリアコーディネーターを兼ねていたため同センターの紹介を受ける。

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あわじ菓子舗の加藤さんの了承を得て、北海道事業承継・引継ぎ支援センターの「後継者人材バンク」に登録、後 継者候補を広く募集開始する。

また、同センターから事業承継マッチングプラットフォームrelay(リレイ)を運営する㈱ライトライトの紹介を受ける。

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北海道事業承継・引継ぎ支援センターの紹介により㈱ライトライトが運営する事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」に登録、事業を譲りたい経営者と、譲り受けたい候補者をマッチングさせるサービスに登録、承継者募集を開始する。

「relay(リレイ)」は従来のM&Aマッチングサイトと異なり、どんな想いで企業や店舗を運営してきたか、ライターとカメラマンが現地取材を実施、オーナーの横顔を含めた想いを記事化し、後継者を公募するのが特徴。

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 広域連携事業で実施した日本政策金融公庫との金融情報交換会にて「事業承継マッチング支援」の情報を得る

 全国152支店のネットワーク等を活用し、幅広く相手先を探すことが可能、公庫とセンターは各々データベースを有しており、事業譲渡の可能性が高まるメリットがあるため登録。

■進捗状況

事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」より2件、北海道事業承継・引継ぎ支援センター「後継者人材バンク」より1件、北海道新聞地方版の記事を見て1件問い合わせがあり、いずれも面談を実施、加藤さん曰く魅力的な後継者候補もいたが、家庭環境や地理的な問題から成立とはならなかった。

引継ぎ者への想いとして、あわじ菓子舗の味だけではなく地域の人々とのつながりも引き継いでもらいたいと考えており、誰かに任せて商売をしようとする人や単に利益を求めている人には事業を譲ることはないようだ。

※令和5年11月末時点で後継者候補が見つからなかったため、後継者募集は終了しました。

※掲載案件についてはrelay(リレイ)にお問い合わせください。